モーニング娘。に確かに在った幻想のカプ「はるまき」について語りたい

※今回はかなり妄想分高めです。ご注意ください

 

さて、これまで紹介させていただいたモーニング娘。内のカプでも「かえれな」「だーさく」はかなりの人気カプであり、メジャーといえる組み合わせでした。

ですが大所帯のモーニング娘。のこと。もちろんマイナーなカップリングも多数あります。

 

今回ご紹介したい「はるまき(尾形春水×牧野真莉愛)」

12期の同期カプではあるのですが、特別仲が良かったわけでもなく、エピソードもあまりなく、しかも片方(尾形春水さん)が今年の6月に、既に卒業してしまっているという、非常に朧な組み合わせです。

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それでもここで取り上げたいと思ったのは、私の百合ヲタとしての感覚を恐ろしいほど刺激し、妄想の翼の羽ばたきを止めることが出来なくなる、そんな二人組だから。

物凄くお暇な方だけ、しばし私の妄想にお付き合い下さい。

 

何を隠そう、尾形さんは私のモーニング娘。’18での二推しメンバーなので、卒業してしまったことは今でもとても寂しく感じています。

なので「はるまき」を語る前に少しだけ、彼女がどんな子だったのか私なりの考えを書かせてください。

尾形さんにはやはり「普通の人」「普通の女の子」という言葉がしっくりきます。というのも、モーニング娘。のメンバーは皆、どこか「普通じゃない」「異能の」「逸脱した」「超越した」部分を持ち合わせているように感じるからです。

 

モーニング娘。にいる、それだけでかなり特殊な状況です。思春期の同年代の女の子達が普通に過ごしているであろう青春とは全く違う生活。年間で休みが二桁あるのかも怪しいほど、毎日働き詰め、自分を律し、パフォーマンスを磨き、歴史を背負い、それだけのことをこなして尚、笑顔で「楽しい」と言って過ごせる精神。

それは驚嘆に値することでもありますが、我々「普通の人」からすれば「異常」な状態であるのも確かです。「モーニング娘。に全てを捧げる」という感覚は「普通」ではありません。

 

彼女たちはその環境の中においてそう「成った」とも見えるのですが、個々を見ればやはりみんなどこか特別な「異質」な才能の持ち主であり、それ故にモーニング娘。足りえたように思えてきます。

そんなモーニング娘。において尾形春水さんからは、「普通」の私たちと同じ側の人間であるという印象を覚えることが多くありました。

 

ファンタジー小説や漫画やアニメで、ごくごく普通の学生が突然異界にワープしてしまって、そこで起こっている戦いに巻き込まれるという設定をよく目にすると思いますが、尾形さんからはまさにそんな印象を受けていました。

異界の超人たちの戦いの中に、ほんの少しの好奇心で足を踏み入れてしまった、何の超能力も持たない一人の少女。それでも出会った異能の仲間たちと共に、その力を振り絞って戦う、そんな印象です。

 

尾形さんは、歌もダメ、ダンスもダメ、覚悟が据わっているわけでもなく、何をやらせてもヘナチョコな劣等生でした。

彼女は、そんな遥か後ろのスタート位置から、信じられないような努力で必死に食らいつき、仲間たちの後をついて行きました。その努力がどれほどのものだったのか、それは「ついて行った」という結果のみから推測されるだけ。彼女の口から語られることはありませんでした。

彼女は常に自分を傍観者の位置に置いて、アイドルの物語の中心とはならず、自身とその世界とを融合させないまま去って行きました。

モーニング娘。として過ごした4年足らずの間に、仲間やグループへの深い愛情が育まれていたことは、彼女の姿からありありと伝わっていました。それでも自身を変質させてまで「異界」に馴染むことはせず、頑固に元の世界へ戻ることを選びました。

ナルニア国からイギリスに戻った兄弟のように、あるいは大冒険を終えて東京へ戻ってきたのび太くんのように、私たちの住む「普通の世界」に彼女は帰ってきたのです。

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道重さゆみさんは、自身の苦悩や劣等感、嫉妬心なども全てファンの前にさらけ出してありのままの彼女を愛させ、伝説的なアイドルとなりました。

尾形さんは全くの逆で、劣等感や辛さ、明らかなストレスによる体型の変化、深い苦悩も、後になって断片的に語られただけで、いつも彼女自身はへらへらと笑って気楽そうでした。そして最後の瞬間まで満面の笑顔で「幸せです」とだけ残して去っていったその姿には、決してアイドル足りえなかった、だけど多くのファンを魅了し、メンバーからも愛された彼女の「人としての魅力」が浮かび上がっていた気がします。

メンバーが口々に語った「尾形は優し過ぎる」という言葉は、決してアイドルとしてプラスになる部分では無かったでしょう。それでも「人として」彼女が愛された最たる部分だったのでは無いでしょうか。

そして尾形さんの、歯を食いしばって努力し、苦悩しながらも、「別にええやん」と飄々と言える、冷静で俯瞰的な視点は熱暴走しやすいモーニング娘。の冷却材として、これからも必要な存在だったと思います。

そんな魅力的な「普通の人」、だけどアイドルとしては異邦人であった尾形さんと、同期にして全く対照的だったのが牧野真莉愛さんです。

 

 

尾形さんと牧野さんは、それなりに複雑な関係です。

同じ12期。ただし一般オーディションで合格した尾形さんと、研修生から昇格という形になった牧野さんとは、合格者の顔合わせの時まで面識もありませんでした。

歳は尾形さんが12期で一番上。だけど研修生組ではもう一人の羽賀ちゃんよりも先輩の牧野さんが、いろいろな意味で一番「分っている」立場でした。

期で一番のお姉さんである尾形さんが先頭を切っていろいろなことをしなければならない、だけど実際には一番「出来ない」のが尾形さんでした。

尾形さんだけダンスが覚えられず連帯責任で12期全員が怒られるということも頻繁にあったらしく、そのたびに牧野さんが必死で尾形さんに教えていたそうです。卒業間際のトークではお互い軽く語っていますが、尾形さんの中に深く負い目として刻まれていることは想像に難くありません。

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牧野さんは、尾形さんとは正反対と言える女の子でした。

純粋に自分をさらけ出すことができ、好きなものを好きと言い、好きなものに限りない情熱を注ぐことが出来る。自分の正しさを信じ人の正しさも信じ、決して他人の悪口は言わず、謎のらぶりんキャラもやりきる。

あまりにも純粋なその精神は、仮にモーニング娘。でなかったとしても、とても「普通」ではない。そんな女の子が牧野さんなのです。

現世に舞い降りた天使かと紛うようなその心は、アイドルとしてはまさしく天賦の才であると思います。ただしもしアイドルで無かったとしたら、私たちと同じ世界に居たとしたら彼女はひどく生きにくいように思えるのです。

過去に学校で「イラっとするって言われる」「何故か人が居なくなる」ということをポロリと吐露したことがありますが、牧野さんの純粋さは悪意にさらされやすそうです。

天使は人の世では生きていけないのかもしれません。

 

尾形さんと牧野さんは、そのあまりにもかけ離れた性質故に、互いにとても眩しい光を見ていたように思います。

ファンタジーの例えで言うならば人間とフェアリー、まさに異種族と言えるくらい二人の属性は違っていたからこそ、お互いの美点に対する憧れはとても強かった。

尾形さんにとっての牧野さんは、そのどこまでも純粋な心とアイドルとしての圧倒的な才能、牧野さんにとっての尾形さんは、その誰からも愛される人間力。それを夜天の星を見上げるがごとく想っていたのではないでしょうか。

 

尾形さんは、自身との絡みやエピソードは少ないながらも、よく牧野さんのエピソードを紹介していました。突飛な話を面白おかしく披露し、よく褒めていました。

決して仲が悪いようには見えませんでしたが、余りにも性質が違い、趣味嗜好にも一切の共通点を持たない二人の距離感は、知らない異国の地にいる外国人の友人と衛星電話で話しているような、被る部分が何もないから摩擦も無い、だけど常に一緒に居られるような関係でもない、といった風でした。

 

牧野さんは、少ない尾形さんとのエピソードの中でもとりわけ、尾形さんが自分に対して優位性を示してくれた場面の話を繰り返し繰り返し、何度も何度も披露しています。

・一緒に企画でスケートリンクに行って、優しく自分の手を引いてすいすい滑ってくれたこと。

・中学生時代に勉強を教えて貰ったこと。

アイドルとしては何をしてもダメで、自転車にも乗れないほどの運動音痴、手持ち花火にも悲鳴を上げるほどのビビリの尾形さんに、それでも憧れ、愛して、慕っていた牧野さんは、尾形さんの「かっこいい場面」を大切に大切に思っていたのです。

 

異種族の二人は、触れ合うこともできない程の遠い遠い心の距離で、

さながら叶うことのない片思いでもしているように強い憧れを互いに抱いているようでした。

 

 

  • はーちんの卒業発表

 

尾形さんの卒業発表に対するメンバーの反応は、寂しいという感情を軸にしながらも様々なものがありました。

まだまだモーニング娘。として出来ることもあったであろう尾形さんに対して、勿体ないという気持ちは、メンバーは勿論ファンも大いに感じていたところでした。

そんななかでも、牧野さんの尾形さんに対する態度はとても印象的でした。

モーニング娘。を辞めて大学進学という目標に舵を切った尾形さん。

「何かを勉強したい」ではなく「大学に進学したい」という目標はモーニング娘。を続けるということと比較するのにあまりに茫洋としていて、どうとらえるべきか戸惑っていたファン、メンバーもいたかもしれません。(異世界へ飛ばされたフォーリナーの「地球へ帰りたい」という想いに類するものと思えば、私にはとても納得できるのですが)

そんな中牧野さんは、尾形さんの選択をとにかく肯定しました。

モーニング娘。の活動と並行して勉強に励んでいた努力の姿をしきりにファンに報告し、4月から通い始めた短大での生活の話をたびたび請うて、ファンの前で話させました。

尾形さんの選択は正しく、その大学生活は輝かしいと、そのことに一片の疑いも無いというような牧野さんの姿勢は清々しく、尾形さんのファンの一人としてその選択を全肯定してくれるメンバーがいることに救われました。

遠慮がちながら尾形さんの口から短大での日常の断片が聞けたことは、牧野さんが居なければ決して叶わなかったことと思います。

ただ大好きなメンバーであるというだけでなく「憧れ」であるからこその肯定なのかなと、そんな風に感じました。

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  • 刹那の恋と永久の別れ

だんだんポエムになっていってますが気にしてはいけません

 

尾形さんにとって、同期の他の二人野中さんと羽賀さんとは、確かな特別な絆が存在しているでしょう。同期の中でも二人だけのオーディション合格組として、どんなときも共に歩んできた盟友の野中氏、自他共に認める親友のあかねちん。

そんな二人と違って、牧野さんが卒業後の尾形さんと会ったり、プライベートを共に過ごす姿は、はっきり言って全く想像できません。(12期で集まることはもしかしたらあるかもしれませんが)

住む世界の違う二人は、モーニング娘。というステージ以外では決して交わることが出来ないような、そんなイメージを抱いてしまうのです。

 

既に離れ、これから物語が積み上げられることは無いであろう二人ですが、最後にこんなエピソードを残しています。

 

6月19日日本武道館公演。

メンバー全員で歌う「卒業旅行~モーニング娘。旅立つ人に贈る唄~」の中で、12期4人がセンターステージに出て歌うパートがありました。

「よい仲間だ」という歌詞。

4人一列に並んでいたのですが、主役の尾形さんの両サイドはより絆の深い野中さん、羽賀さんの場所で、牧野さんは羽賀さんの隣というポジションでした。

 

だけど後ろのメンバーだけが見える位置で、羽賀さんの背中越しに

尾形さんと牧野さんの手が繋がれていたそうです。

牧野さんは「どちらから繋いだわけでもなく、手が触れて、自然につないだ」と語っています。

「どちらからともなく」自然に二人の想いが一つになったその一瞬。何も言葉は交わしていないでしょう。離れた後、その手の温もりもすぐに消えたでしょう。

そして翌日には尾形さんは卒業し、別々の路を往く。

最後に牧野さんが送った言葉「明日も嬉しいこと、楽しいこと、いっぱいあるといいね」は尾形さんにとってどんな祈りの言葉になったのでしょうか。

モーニング娘。だからこそ出会い、交わり、お互いの心に火を灯し、静かに離れていった。はるまきの二人は子供の頃、物語を読んで胸に宿した仄かな寂しさと切なさを思い起こさせてくれたのでした。

 

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ここまで妄想にお付き合いいただきありがとうございました。

いろいろ書きましたが、単に二人の並びが美しくて好きだっただけかもしれません。

てへぺろ